鬼と少年

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人の寿命を食らって生きる鬼がいた。
静かに寝入る小さな男の子。額に手を伸ばした瞬間、目がぱっちりと開いた。慌てる鬼。騒がないでほしいこと、1年分だけ寿命を分けて欲しいことを話した。男の子は2つの願いを聞く代わりに1ヶ月間ここへ通うよう要求した。鬼は意味が分からないまましぶしぶ了承した。鬼は痩せた男の子を『小枝』と呼んだ。虫やどんぐりを拾ってきてやったり、他愛もない話をしてーー1ヶ月が過ぎた。
小枝が約束どおり額を向ける。鬼は手をかざしたがーー、黙ってそれを引っ込めた。小枝は涙を浮かべ、鬼を見つめた。
その夜、鬼は小枝の枕元に立っていた。
「お前は小枝じゃなかった。お前の小さな体はーー逞しい、生命の息吹そのものだ」
聞こえたのだろうか。苦しそうな小枝の表情が和らいだ。
鬼は自分がなぜそんなことを言ったのか分からなかった。しかし明日で失われるこの命を前に、言わずにはいられなかったのだった。
ファンタジー
公開:22/10/01 17:21
更新:22/10/01 20:29

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