水玉セーター

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水玉が可愛いセーターを買った。一目惚れしたのだ。とても可愛い。私は水玉セーターをヘビロテした。しかしセーターというのは、着れば着るほど糸がほつれてくる。ある日、そのほつれた糸を引っ張ってしまって、服に穴を空けてしまった。
「痛っ!」
思わず声を上げる水玉セーター。
「ああ、ごめんよ」
「痛いよ」
「ごめんね。でも我慢して」
そう言って私は、水玉セーターの袖口の穴に手縫いをした。針と糸でチクチク縫う。なかなか難しい。それでも頑張った。水玉セーターは可愛く仕上がった。私はまた、水玉セーターをヘビロテする。すると今度は脇の下あたりに穴が空いた。また手縫いをする私。なかなか上手になった。水玉セーターはとても気に入ってるから、毎日のようにヘビロテしているうちに、どんどんほつれてきてしまう。とうとう胸元に大きな穴が空いた。
「ありがとう。もう十分だよ」
そう言うと、水玉セーターの声は聞こえなくなった。
公開:22/10/01 05:07

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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