夢女

「毎晩、夢の中に美女が現れては俺を誘惑するんだ。あの人の事を考えると仕事も手につかねぇ…頼む！俺の頭の中からあの美女を追い出してくれ！」
追い出し屋の俺に妙な依頼をする友人。スピリチュアルは専門外なんだがなぁ…
しかし大事な友人の頼みだ。出来るか分からんが、追い出してみるとしよう。
俺は友人を三日三晩不眠不休で働かせた。夢女が友人を宿主にしているのなら、この宿はもう倒壊寸前だと教えてやるのが手っ取り早い。
ついに限界が来て倒れる友人。開きっぱなしのその口から、白魚のような手が出てきた。
俺はそれを思いっきり引っ張る。友人の白目がぐるんと一回転すると、目が覚めるような美女が友人の中から現れた。
美女は怪しく微笑むと俺の頬を両手で挟み、口づけをしてきた。夢女が俺の頭の中に入ってくる。
その日から俺は毎日寝て過ごすようになった。
クソみたいな現実より、美女と過ごす夢こそが俺のいるべき世界なんだ。