カプセルトイ

仕事帰り、私はとあるカプセルトイ製造メーカーの扉を叩いた。
「今日は６…いや、８カプセルお願いします」
私は思いっきり息を吸い込み…「部長のバカヤロー！」とカプセルの中に叫んだ。
ちょっと声が大きすぎたかな？カプセルから私の声が少し漏れ出ている。従業員が急ぎフィルムコーティングを施す。
それを見て私は次々とカプセルに叫びを入れていく。８カプセル分叫び終えると気持ちも大分すっきりしていた。
「今日も見事な叫びっぷりでしたね。凄くいい商品に仕上がっていますよ」
こんなストレスの籠った叫び声なんて誰が喜ぶのか…と思ってしまう。だが、こういうものにも需要はあるらしい。カプセルから飛び出す怒りの籠った叫びを聞きたがる変態がそれなりにいるらしい。
「こちら、いつも御贔屓にして貰っているお礼です」
”王様の耳はロバの耳”と書かれたカプセルを渡された。
中を開けてみると同僚の声で私の秘密が込められていた。