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お彼岸に実家の墓参りをしたとき、隣に新しいお墓が建っていた。そのお墓に僕はゾッとした。墓石全体が小さな四角い穴に覆われていたのだ。僕はその異様な墓を凝視することも、無視することもできないまま立ち尽くしていた。
そこへ、その墓の関係者らしい家族連れがやってきた。僕はその場でスマホを見ているフリをした。
その家族はまず花と水を取り換え、日本酒とお饅頭を備えて線香を点けた。それから父親が墓石にエアースプレーを吹きつけ、姉と弟がスマホやタブレットを取り出した。そして二人はUSBケーブルを墓の穴に差し込んだ。
「あ、動画だ!」
「わたしのは日記だわ!」
その様子を母親が撮影し、父親はUSBの穴の位置をメモしている。僕は恐る恐る母親に声をかけた。
「あの、このお墓の穴はなんですか?」
「USBポートですのよ」
母親がスマホのケーブルを穴の一つに挿し込むと充電が始まった。
「あなたもどうぞ」
そこへ、その墓の関係者らしい家族連れがやってきた。僕はその場でスマホを見ているフリをした。
その家族はまず花と水を取り換え、日本酒とお饅頭を備えて線香を点けた。それから父親が墓石にエアースプレーを吹きつけ、姉と弟がスマホやタブレットを取り出した。そして二人はUSBケーブルを墓の穴に差し込んだ。
「あ、動画だ!」
「わたしのは日記だわ!」
その様子を母親が撮影し、父親はUSBの穴の位置をメモしている。僕は恐る恐る母親に声をかけた。
「あの、このお墓の穴はなんですか?」
「USBポートですのよ」
母親がスマホのケーブルを穴の一つに挿し込むと充電が始まった。
「あなたもどうぞ」
ファンタジー
公開:22/10/02 13:29
更新:22/10/02 13:38
更新:22/10/02 13:38
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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