丑の時参り

アイツが憎い。憎くて憎くてたまらない。死ねばいいのに。そんな思いで私は、藁人形に五寸釘を刺した。
「きええええええ！！死ね！！死ねええええ！！」
雄叫びをあげながら五寸釘を打ち込んだ。
「お困り？」
午前1時。そこにやってきたのは、一匹の牛だった。牛が五寸釘を打っている私にお困り？と聞いてきたのだ。
「きえええええええ！！」
私は牛が喋った事に対して驚きの奇声をあげた。
「そんなに憎い？怒りなんて忘れようよ」
「きえええええ！！忘れられるかあああ！！」
「モウーモウー、いや、違う。まーまー、そんな事言わずにこれ飲んで」
そう言うと牛は、コップに入った牛乳を差し出した。
「きえええええ！！なんだこれはー！！」
「ミルクだよ。喉渇いたでしょ？」
確かに奇声をあげすぎて喉が渇いた。私は牛乳を飲んだ。
「牛乳はカルシウム豊富。怒りの気持ちも抑えれるよ」
牛乳を飲むとなんだか心が落ち着いてきた。