あなたの秘密

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家のチャイムが鳴る。玄関のドアを開けると荷物を持った宅配のお兄さんが元気良く挨拶する。段ボールを手に取った。宛名は不明だった。品名は「あなたの秘密」と書いてあった。この品名に対して私は妙な胸騒ぎがした。中を開けると入っていたのは、血のついた鉄の棒と手紙だった。私の胸騒ぎは確信に変わった。
「まさか誰かに見られていた?」
私は恐る恐る手紙を開けた。
この鉄の棒は、七年前、あなたが殺した吉野さんを殴った時に使った凶器です。この凶器をあなたにお返しします。どうするかはあなた次第。私はあなたの善意に期待しています。
「……」
嫌だ。捕まりたくない。でも送り主は、私の善意に期待するだけで、ご丁寧にこの凶器を送ってくれた馬鹿な奴。私が今更、自首などするものか。私は再び凶器を始末した。ゴミに紛れさせて捨てた。これでいい。
後日。チャイムが鳴る。
「お届け物です」
品名には「あなたの秘密」と書いてあった。
公開:22/09/28 04:23

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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