ヒーローはいらない

10
1

「あー。不味かったかな」
今私の家の前ではプラカードを持ち大声で糾弾している集団がいる。
「絶対この前のインタビューの件だよ」
つい先日、とある雑誌が発売された。そこには私が独占インタビューされた記事が乗っていた。
実は私は正義のヒーローである。だからインタビューではヒーローの心構えだったり、活動について回答している。その時に記者からヒーローの給料事情について質問があった。
そこで私は正義のヒーローとして一銭たりとも貰っていないと当然のように答えた。別に本職もあったしお金では困っていないからね。でもそれが不味かったのだ。
「ブラック企業思想反対!」
「やりがい搾取を助長させるな!」
プラカードにはヒーローが悪の世界を作るという皮肉まで書いてあった。
私はカーテンを締め、ため息をついた。
そして電話をかける。
「もしもし。暫くヒーロー活動は休ませて貰うよ。求められてないみたいだからね」
ファンタジー
公開:22/09/27 22:06

リマウチ

超ショートショート書いていきます

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容