カプセルトイ

「祇園囃子を録音してカプセルトイにしたいだぁ？」
儂は怒りを通り越して呆れかえった。
「そんなもの売れるわけない。祭囃子なんて誰も興味を持っちゃくれねぇよ」
言って悲しくなる。儂も昔は腕のあるお囃子だった。だが儂の、儂らの技術を引き継ぎたい言う若者は誰もおらなんだ。録音したいなら映像が残っているだろうからそれを使えばいい。
「玩具だからって妥協したくない？ちゃんとしたものを作りたい？」
はぁ…この熱意が儂らの技術を引き継ぎたいって方向に向けられたのならな…
「…分かった。録音させてやろう。儂らの最後のお囃子を」
儂は重い腰を上げ、お囃子を披露した。

１年後、儂はさらに重くなった腰を上げ、お囃子を披露する。
祇園囃子を録音したカプセルトイは子供に大人気で、興味を持つ子が爆発的に増えた。今じゃ学校の音楽の授業にも取り入れられている。
カプセルトイってのはバカに出来んもんだと思い知らされたよ…