まねき猫

子宝に恵まれず、思い悩む私達夫婦に友人がまねき猫をくれた。
「猫は寝る子。このまねき猫はね、寝る子を招いてくれるの。貴方達の強い味方になるわ」
その言葉通り、まねき猫を置いて数ヵ月、私達はついに子宝に恵まれた。
まねき猫のおかげね。
「それじゃ、まねき猫を仕舞いなさい。そうしないと貴方達、猫みたく際限なく子ども産む事になるわよ」
それは怖い。普通なら与太話として笑い飛ばしていただろう。
だが、まねき猫による御利益があった以上、本当にそうなるかもしれない。
私達二人目はまだ考えていない。仕舞っておこう。
「封印するみたく厳重にしまっておいた方がいいわよ。まねきは真似鬼。このまねき猫はね、間違って独身の人が持つと発情したみたくなるの」
発情？本当に猫みたい。
「そうね。惚れた相手の為ならその人に恋人がいても、殺してでも奪い取る鬼畜になるから」
友人はシングルマザー。私は友人の夫を見た事がない。