1日署長

　署長室。昨日まで他の奴が座っていた席に、今日は俺が座る。

　早速タバコに火を付け一服。愛煙家の不満が報われる。少しだけ居場所を取り戻した気分だ。



　昨日の出来事を思い出す。サービスの悪いウェイターに正しい接客について教えた。お客様は神様だ。ということを。

　目上の人間に愛想笑いで応じる苦悩。地獄だ。本当に偉いのは俺なのに。



　タバコが吸えない社会もそうだが、世の中には問題が多すぎる。奴らのような無能が持て囃されて、俺のような偉大な人間が損をする。

　檻の中の鳥のように。俺は署長室の鳥籠の中でさえずる鮮やかな鳥を眺めた。



　そうか、お前もそう思うか。鳥は俺を称えるように鳴いた。



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　翌日、テレビのニュースで話題になったことがあった。新署長辞任。暴言が流出。

　人気動物園のインコ、１日署長のピーちゃんお手柄。



　口は災いの元とはこの事である。