仇討ち法

仇討ち法が成立した。殺された遺族が仇を討つのを法的に認めるというのである。
スマホの仇討ちナビで犯人を追跡したり、周囲の人のタレコミで犯人を追い詰めるケースも多かった。
しかしこういうのは、逃げる方が強い。人を殺すような残忍な心の持ち主だから開き直り、返り討ちにすることも多かった。ならばと特例として仇討ちする人に拳銃も与えられたが、誤射したり悪事に使う人も出てきたので特例は廃止された。

犯人もヤクザ組織に逃げ込んだりして、追跡不可能になることもあった。皮肉なことに人手不足で悩んでいたヤクザ組織がスカウトしなくても人が来てくれるといった、持ちつ持たれつの関係となった。
さすがにこの法案を通したのは失敗ではないかと、批判の声も大きくなった。
しかし法案の失敗を認めたくない政府は、たまに仇討ちに成功した話を美談として取り上げ、ドラマや映画で何度も上映したりした。
成功者に栄誉賞が贈られた。