ベルーブリー

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「ベルーブリーじゃない。ブルーベリーだ」
いつも言い間違える彼女に、俺は何度も訂正する。
「あはは。細かい事はいいじゃん。意味通じるんだし」
そう言って彼女は笑う。俺の好きな笑顔で。
「細かい事じゃねぇよ。お前が変な単語を何回も使うから、俺はそれを全部暗記してるんだぞ?」
「へぇー。それってすごいね!」
彼女の顔に笑みが浮かぶ。
その顔を見ると、どうでも良くなってしまう。
「まぁ、凄いかどうかはともかく……お前が楽しそうだからいいけどさ」
「え? 私、今笑ってた?」
自分の頬に手を当てて確かめている彼女。
「ああ、笑ってた」
「そっか……。うん! 確かに私は今楽しいかも!」
「なら良かった」
これだけ明るくて病弱なんだから不思議なものだ。彼女がいつまで生きられるか分からない。でも彼女が少しでも笑っていられるように、俺は彼女のベルーブリーであろうとする。ブルーベリーの花言葉は実りある人生だ。
公開:22/09/27 04:15

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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