刑事の同情

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俺は300万円を手に入れ、美容院に行った。
「予約した西崎です」
「究極のストレートパーマをご予約の方ですね」
俺のコンプレックスはチリチリの髪質だ。どんなストレートパーマをかけてもすぐに戻ってしまう。この究極のストレートパーマの効果は凄く、数年持続する。
ただ高額なので頼む人はめったにいない。

俺はショッピングモールへ出かけた。
サラサラの髪が風に吹かれて動く。
お店のガラスに映った自分にニヤけてしまった。
「あの西崎さんですか?近藤です」
「ああ!」
偶然にも同じ日に同じ注文をしていて、会話が弾んだ人だ。
「私、こういう者です」
警察手帳を見せられた。
「ある資産家のお宅から300万円が盗まれました。心当たりありますよね?」
防犯カメラに俺の顔が写っていたという。
「気持ちわかりますよ。でも犯罪はダメです。私も今日は休日なんです。一緒に行きましょう」
「はい」
代償は大きかった。
その他
公開:22/09/26 13:13

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