顔貌恐怖症

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患者Aの不思議な症状は数年前からであるが、原因は未だ不明である。Aは目鼻口のパターンに遭遇すると即座に顔を認識してしまう。同じ光景を他人が見ても何も連想しないのにAは俊敏に顔を読み取ってしまう。例えば、建物ならば窓二つ、扉一つが威圧的な顔で迫ってくる。道ゆく自動車は円いヘッドライトとバンパーがひょうきんな表情で笑いかける。三色の信号灯は眼二つ、鼻一つの無表情な妖怪のように立つ。Aが受け取る顔は笑ったり泣いたり怒ったり無表情だったりと様々であるが、Aは顔の表情を無関心にやり過ごすことができない。様々な顔が喚起する感情に振り回された結果Aの感情は激しく起伏し心身膠着状態に陥る。このままではAは通常生活を続けることが難しい。外出を控え、室内に物をおかずテレビを見ないように過ごすしかない。原因も不明で治癒法もない。

上記は臨床心理学会報告の原稿であるが、諸事情に鑑み投稿はペンディングとする。A。
その他
公開:22/05/13 14:40

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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