羽と翅Ⅲ 

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川の水汲みがひとしおの労苦であること。
木枯らしの夜、暖炉の種火は枯らさないこと。
畑の土地は、よく耕して空気を含ませてやること。
風は気まぐれに。

それぞれ『正しき行いをせよ』との精霊王の寓意のもと、水・火・地の三柱は、里の人々の暮らしに寄り添って、勤勉に働きます。

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末っ子の精霊・コリーナに限っては、決められた仕事もなく毎日を気ままに暮らしておりました。
けれども、彼女は四姉妹の中で誰よりも美しい翅の備わる持ち主であったのです。

「コクーンさまは私達に『正しき行いをせよ』と、おっしゃるけど、私に役割を下さらないのよ」
コリーナが樹の上で、新緑のハイシャギーの髪を揺す振り、風に尋ねてみても、彼は返事をくれません。



次回投稿予定* 5月20日(2022)
ファンタジー
公開:22/05/18 11:05
更新:22/05/18 11:10
風の精霊 コリーナ 精霊王コクーン 台本

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