神様の

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 駅前にいつもいるお爺さん。最初に認識したのは小学生の頃だから、もうかれこれ30年になる。
 風体は一言で言うなら、ホームレスと形容しても間違いではないだろう。
 ただ、僕はこのお爺さん、神様ではないかと思っている。
 小学生の頃、笑いながらなにかを言った隣のクラスの男子が、翌日顔面にボールがぶつかって怪我をしていた。
 中学生の頃、唾を吐いた先輩が、直後に水撒きの水を浴びるのを見た。
 高校生の頃、石を投げた友人が、3日後に骨を折る怪我をした。
 その他、きりがない因果応報を目にしてきた。
 そして、触らぬ神に祟りなしのごとく、僕は30年間傍観者を決め込んだわけだ。

 しかし今日、神様が天に召された。
 死因はわからない。
 僕はそして怯えた。余程の祟に。

 眠れぬまま朝を迎え、大事な会議でミスを冒した。
 これがくだされた罰か。
 頭を垂れ一歩踏み出す。
 雨が降って濡れた階段を。
ホラー
公開:22/05/13 23:56

碧色あをゐ

引っ越しをして、通勤時間が増えました。
なにをしようか考えた末が今です。
日々に少しのスパイスを。

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