風が運んできたもの

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風邪は弱虫が引くものだ。俺は強いから風邪なんて引かない!
なんて豪語していた俺が風邪を引いてしまった…38度の熱に浮かされ、心細さに涙が出てくる。
そんな俺を見舞いに来たのはしょっちゅう病気で学校を休む奴だった。情けない奴に、情けない姿を見られてしまった…
俺はいつもこいつをバカにしていた。だからこいつも俺をバカにしてくるものだとばかり思っていた。
「風邪って辛いよね。なのに一人で耐えられるなんて君は凄いよ。僕ならすぐに大人の人を呼んじゃうな」
そいつは俺をバカにする事なく褒めてきた。
「大丈夫。君は強いから、すぐに風邪なんて治るよ」
ゴホゴホと咳き込みながらそいつは笑う。
青い顔。きっとこいつ、病気で体調が悪いんだ。
そう思うと俺はこの時、初めて本当の強さを知った。
病気と闘い続けるこいつが弱虫なわけない!
風邪を引かなければ俺はそれに気付かなかった。風邪が本当の強さを俺に教えてくれた。
公開:22/05/10 20:30

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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