風が運んできたもの

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世界中を余す事なく旅してきた私の話を多くの人が聞きたいと言ってくる。
いいとも。私の言葉で良ければいくらでも教えてあげよう。
ただしその代わり、君達には聞きたい場所はその国、その土地の料理を用意してもらいたい。
記憶というものは匂いと直結しているんだ。私はその土地の料理の匂いを嗅ぐ事で、記憶を呼び起こしては君達に語る事が出来る。逆に言えばその土地の食べ物がないと何も思い出せないんだ。
そう言うと「じゃあ、砂漠だとどんな食べ物を用意したらいいんですか?」なんて聞いてくる者がいる。
砂漠の思い出か…埃っぽい塩水を貰えるかな?
砂漠では真水なんてもの、まず手に入らない。どうあっても多少の汚れは覚悟しないといけない。
その上で塩水を選ぶのは砂漠が元々は海であったからだ。
風が運んでくる砂の中には、幽かな潮の香りを感じた。
目を閉じれば今も鮮明に思い出せるよ。砂漠の風は今や世界中で吹ているからね。
公開:22/05/10 20:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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