石ころひとつ

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 小学校からの帰り道。
 不意に石ころを蹴っ飛ばした。
 それは不規則に飛び跳ねながら、落ちていた空き缶にぶつかった。
 空き缶は音を弾ませ、脇に立て掛けてあった鉄パイプにぶつかった。
 鉄パイプは真っ直ぐに倒れ、ちょうど通り掛かった男性の足にぶつかった。
 男性は片足を畳んで飛び跳ねながら、僕の方に睨みをきかした。
 その視線から逃げようと後ろを振り向くと、目の前にトラックの姿があった。
 トラックは僕の鼻先をギリギリで通過していく。
 走り去っていくトラックの代わりに、足を引きずりながら向かってくる男性。
 石ころひとつで、こんなにも劇的なことが起こるとは。
 いや、もしかしたら、実は気づいていないだけで色々なことが起きていたのかも知れない。

 激しく怒られながら、僕は笑った。 
その他
公開:22/05/10 16:27

碧色あをゐ

引っ越しをして、通勤時間が増えました。
なにをしようか考えた末が今です。
日々に少しのスパイスを。

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