風が運んできたもの

0
2

私はお婆ちゃんの匂いが大好きだった。
苺を栽培しているお婆ちゃん。甘くてとっても良い匂い。
私はお爺ちゃんのニオイが少し苦手だった。
喫煙者のお爺ちゃんからはいつも煙草のニオイがしていた。口にしたら悲しむけど正直言って臭かった。
そんな二人が他界してもう何年も経つ。
今日は二人の月命日。お仏壇にロウソクを立てる。
お爺ちゃん。お婆ちゃん。今日の蝋燭の香り、どうかな?私の娘が選んでくれたものなの。
あの子ったら「お爺ちゃんとお婆ちゃん、絶対このロウソク喜ぶよ!」って言って苺の香りのするロウソク選んだのよ。私、二人の事何も教えていないのに。
もしかして二人とも私達の事近くで見守っている?
あの子、凄く鼻がいいの。もしかして風に運ばれてきた二人の匂いに気付いたのかも。
私もね、このロウソクの苺と煙の臭いを嗅いでいると二人の事を思い出すの。
だからお爺ちゃん、お婆ちゃん、これからも見守っていてね。
公開:22/05/09 20:50

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容