盆栽の住人

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盆栽の住人は、小太りのおじさんだった。

じいちゃんが、「お前に受け継ぐ時がきた」とか言って、僕にくれた盆栽。
「優しくしてやれよ」って言ってて、盆栽に優しくってどういうこと?と思っていたが、おじさんが現れて、そういうことかと納得した。
たぶん、貰った時は居なかった。
盆栽の半分くらいの大きさのおじさんは、甚平を着て、盆栽の幹からひょこっと出てきた。
「君が、ケイくんか。よろしくな。これから安泰だぞ」
「安泰?どういうこと?」
「まぁ、心配するな。この福盆様がいれば、良いことたくさんあるぞ」
ちっちゃいおじさんは、自慢気に言った。

数ヶ月後、ちっちゃい良いことがあった。
テストの点数が10点くらい上がったとか、急いでた日、ずっと青信号だったとか。
ちっちゃいおじさんだからかな?
今までだったら、こんなちょっとしたことで、嬉しい気持ちにならなかったかも。
ありがとう。盆栽の住人のおじさん。
ファンタジー
公開:22/05/11 17:30
更新:22/05/16 18:58

むーさく( 北海道 )

初めまして!むーさくです(^^)
黄色と緑と黒が好き!秋と冬が好き!
私らしい作品を模索中です!
絵本や、児童文学の優しい世界観が好き!

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