風が運んできたもの

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散歩中、白い布のようなものが風に運ばれ、僕の目の前に落ちてきた。
拾い上げてみると三角形のそれは一目で女性ものだと分かった。純白のそれに思わず顔を赤くしてしまう。
これ、どうしよう?僕が持っていたらあらぬ誤解を受けてしまう…
「すみませーん。それ、私のですー」
女性が僕のもとへと走って来た。
「拾ってくれて、ありがとう」
それを返すと女性は嬉しそうに微笑む。そして僕の目の前で恥ずかしげもなく頭に装着した。
清潔感のある白は女性の透き通るような肌にぴったりで、思わず見とれてしまう。
女性の体がふわりと宙に浮いた。
そして風に身を任せると、そのまま天国があるであろう空の向こうへと帰って行った。
僕はそれを見届けた後、先程まで女性の天冠を持っていた手のひらを見つめる。
やっぱり女性ものって男性ものと違って若干サイズが小さいんだな…なんて、きっと誰も知らないであろうどうでもいい事に思いを馳せた。
公開:22/05/06 20:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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