風が運んできたもの

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飲食店の裏手で白飯を食う。今日のおかずは拉麺屋の換気扇から流れ出る美味そうな匂い。
この匂いだけで白飯が美味くなる!何杯でも食えるし幸福感に満たされる。
ああ…今日も最高の食事だった。大満足で家路につくも焼き鳥屋の裏手で顔を顰める。
何だこのニオイ?臭い。臭すぎる。一体どんな鳥を捌いたらこんなニオイになるんだ?
辟易しながら小窓からこっそりと焼き鳥屋の厨房を覗き見る。
おばさんが恐ろしい顔で真っ黒な鳥を捌いていた。何だあれ?
じっと見つめているとおばさんの呟きが耳に入ってきた。
「畜生…カラスめ…アタシの大事な宝石を飲み込みやがって…こいつでもない…まったく…いつになったらあのカラスが見つかるんだい…」
カラスの死体が山のように積み上がる。
その恐ろしさに息を飲んだ瞬間、腹の底からげっぷがこみ上げる。拉麺屋の美味そうな匂いが出た。
風に運ばれたそのニオイにおばさんが気付き、俺と目が合った。
ホラー
公開:22/05/06 20:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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