実験室

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常に誰かに監視されているような、そんな気がするのは今に始まったことじゃない。どこで生まれて、いつから此処にやってきたのか。ただ、この狭い鏡張りの部屋に長くいることは確かで、他の誰でもなく自分の目である事も、だ。
生活の大半は、鏡の中の自分をのぞき込むことで、後は日に三度の食事と睡眠だけだが、それは突如として破られた。
何時ものように自分を眺めていると、サイレント共に自分が壊れた。正確にはガラスの壁が砕かれた。
壊れた壁の奥には、カプセル様に座席が覆われたバイクに乗った男がいて「乗れ」と合図する。私は逃げるように後部座席に跨った。
赤いランプがうす暗く灯る長い廊下が続いていた。バイクは地雷を避けながらも高速で駆けていく。
救世主かテロリストか知らない運転手が「追っ手はいないか」と聞いた。後ろを振り向く。うす暗い光がガラス窓に反射させていた。窓に手を伸ばして私は言う。
「すぐそこにいた」
公開:22/05/05 23:39

太郎犬( 日本 )

読書量も文章力も想像力もまだまだですが、ちょっとずつ投稿していきます。
コメントいただけると嬉しいです。
 

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