バラと万年筆

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とある国にひとりの貴族の少女がおりました。
少女の名はバーバラ。
バーバラは生まれながらの温室育ちでした。
朝から晩まで身の回りの者がバーバラの世話をしています。
けれどもバーバラ本人は自堕落で自分から何かを始めようとする気はありませんでした。
平たい話がバーバラは世間知らずのお嬢様だったのです。
それもそのはず、彼女に悪い虫が近けば執事のセバスチャンが始末してくれましたし、食事は好きなだけ食べることができました。
小腹が空けばお菓子をパクパク。
寝る前にはジュースをゴクゴク。
栄養のバランスなんてそっちのけです。
バーバラにとっては素晴らしい生活だったでしょう。
ですが、母親はこのままではいけないと思ったのか、バーバラに気晴らしに日記でも書いてはどうかとノートと万年筆を渡しました。
バーバラはしばらく考えました。
「ああ、無性にバラ肉が食べたいわ。あの庭園の薔薇を焼いたら美味しいかしら」
公開:22/05/08 12:42

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