煩悩具足の雪だるま

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雪国祭りの入り口に2mぐらいの大きさの雪だるまがたくさん作られた。
その内の一体は他の雪だるま達よりも優越感に浸っていた。
「俺様は、お前たちよりも見物人と一緒にインスタ映えするほど写真も撮られている」
「見物人のほとんどは俺様目当てに来ている」
「この中では俺様が一番もてるな」
他の雪だるま達は、ただ聞き流していた。
この雪だるまは発言する度に身体がカチカチになっていった。
祭りも最終日に近づくにつれて役目を終えた雪だるま達は太陽の光をたくさん浴びて、やがて自然に溶けていった。
独りぼっちのカチカチの雪だるまは自慢する相手がいなくなった。
煩悩具足でカチカチの雪だるまは、雪国祭りが終わってもなかなか溶けなかった。
人の手でも、シャベルを使ってもびくともしないため、最終的にショベルカーで破壊された。
煩悩具足の雪だるまは、気を付けないと環境によっては誰でもなってしまうのだろう。
ファンタジー
公開:22/05/09 07:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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