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「ねぇー早く早く!」

浴衣姿の女性は僕の手を取り、人混みをすり抜ける
祭囃子が鳴り響く中、
僕はその手に導かれて人混みを一緒に踊り走る

「ちょと、そんなに急がなくても……」

「なに言ってるのよ、良い場所じゃないと花火が良く見れないじゃない」

彼女に手を惹かれて着いた先は、河川敷
そこには火の光に魅入られた人が夜空を見上げ、
歓声をあげていた

「もう!始まってるじゃない!」

「いて」

彼女にコツンと頭を叩かれたのが合図になり、
再度花火が打ち上がる
僕はその花火を見ようと、彼女の後ろから少し上を向く

「もう!やっぱりよく見えないね」

「うん、でも綺麗だよ」

彼女の後ろから微かに顔を出した火の光は、
何倍にも膨れ上がり、彼女を照らしていた。
花火が消えると同時に振り返った彼女の顔はよく見えないが容易に想像できる
僕は叩かれてずり落ちた眼鏡を直すの忘れ、それに見惚れた。
青春
公開:22/05/04 21:00
花火 祭り 青春 恋愛

カモメ

小説の勉強の為に登録してみました。
投稿も偶にしていこうと思います。
気が向いたら見ていただけると幸いです

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