風が運んできたもの

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欲しい絵の具があるからと都会へと出向く部長に私もついて来た。
部長の絵は素晴らしい。その素晴らしい絵は誰にもマネのできない配色から生まれていると私は睨んでいる。
部長が一体どんな絵の具を使いあの色を出しているのかを探る為、私も同行を願い出た。
「時間かかるし、つまらないと思うよ」
そう言われるも私はついて行く。
部長はすぐに画材屋へと入る。これは予想通り。
しかし購入した絵の具はどれも珍しいものではない。通販でも購入できるようなものだ。
次に部長は人々の往来の激しい場所にやって来た。ここで何をするのだろうと思っていたらキャップのついた筆を取り出し、蓋を開けると筆先を空へと向ける。
「都会の風が運んでくる都会の色を貰っているのさ。都会の空気の色を出すにはこうするのが一番いい」
私も部長をまねてキャップ付き筆を空へと向ける。
筆先がうっすらと都会の色に染まっていく様子に思わず驚きの声を上げた。
青春
公開:22/05/03 20:24

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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