風が運んできたもの

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風が運んできたものに僕は鼻をひくひくさせる。颯爽と走る彼女から良い香りがした。
いつもそうだ…彼女からは良い匂いがする。僕と同じシャンプーを使っているはずなのに何でだ?
くんくんと自身の体を嗅ぐ。うん。やっぱり違う。僕はどことなく埃っぽい匂いがする。
そんな僕を見て彼女は笑う。
「何やってんの?」
僕は疑問を彼女にぶつけた。
「そんなの唾液の匂いが違うからに決まっているじゃない」
唾液の匂い…そうか!僕と彼女では食べ物の好みが違う!毛繕いで差が出ているんだ!
「私の匂い、そんなに好きなら毛繕いしてあげよっか?」
彼女はそう言うと僕の頬に舌を這わせる。ぺろぺろと全身を毛繕いしてくれる。ドキドキする。
毛繕いが終わると思いっきり走ってみる。だけどダメだ。僕では香りがよく分からない。
彼女も若干がっかりしている。
「風が運んでくれる君の埃っぽい匂い、好きだったのになぁ…」と残念そうに呟いていた。
公開:22/05/03 20:21

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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