呪いの藁人形

偉くなると悪い事をしていなくても人から怨みを買う事が多くなる。儂がまさにそうだ。
真っ当に仕事をし、真っ当に社長となり、真っ当に会社を大きくしてきた。後ろ暗い事なんて何もない。部下からの信頼も厚い。
だが、儂を社長だから、金持ちだからという理由で恨む者もいる。ライバル会社社長だからと憎む者もいる。
そうした者は時に儂に呪いをかけてくる。藁人形に釘を打ち付け、これ見よがしにそれを送り付けてくる。
儂はそんな藁人形をありがたく頂戴するとしっかりと解し、藁束に戻す。
次に藁を器状に編み込み、木の上に設置する。鳥の巣の完成だ。
今の時期だとツバメがやって来ては子育てに利用する。それを見て儂も一安心する。
藁人形だったものが家族の受け皿になる。これはおまじないだ。呪いのもう一つの読み方である。
呪いは祝いで返す事が出来る。儂はそうやって人と会社を成長させてきた。
これまでも、これからもそうしていく。