メイサ ~中編~

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それからまもなくして、業者さんがやってきました。業者さんは、いえが言ったとおり、根元をレンガで囲んでくれました。
「よかったね、これで長生きできるね」
ぼくはいえに言いました。
「ああ。そうじゃな」
「そうだ。延命治療のお祝いに、ぼくが君に名前をつけてあげるよ」
「それは嬉しい。この歳になるまで名前なんてもらった事なんてないからな」
いえは、とても嬉しそうにしていました。ぼくは一生懸命、名前を考えました。そして良い名前を思いついたのです。
「そうだ。命が咲くと書いて”めいさ”だ。僕達一族の命をずっと見守ってくれた君に、この名前を付けてあげたい」
「おお、良い名前じゃ。気に入った」
「よろしくね、命咲」

それからぼくは、命咲と共に過ごしました。だけどそんな日々は長く続きませんでした。
延命治療で延命できたのは、僅かな時間。別れの時はすぐにやってきました。
公開:22/05/05 19:47
更新:22/05/05 20:25

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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