プロペラ

10
5

ぼくはヘリコプター。でもまだ小さく、とても人を乗せられない。プロペラだって生えてない。今は公園で暮らしている。早く大きくならないかなぁ。
公園に男の子がやってきた。彼は母親と公園に来てぼくを見つけた。名前は健太というらしい。健太くんは最初不思議そうにぼくを見ていたが、プロペラがないことに気づくと、毎日色んなものをぼくの背中につけてくれた。双葉や竹とんぼの羽、段ボールで手作りしてくれたこともあった。結局どれをつけてもぼくは飛べなかった。
健太くんはぼくを立派なヘリコプターにしようといつも愛情を注いでくれる。ぼくはそんな彼が愛おしかった。彼のために飛びたい。彼を乗せて、彼が喜ぶ顔が見たい。
そのときだった。ぼくは不思議な光に包まれた。体中にエネルギーが満ちてくる。
気づくとぼくは立派なヘリコプターになっていた。立派なプロペラだって生えている。これで彼にお返しできる。
ぼくはヘリのドアを開けた。
ファンタジー
公開:22/05/04 17:00
ヘリコプター プロペラ

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容