赤い糸電話

1
2

祖父と祖母は携帯電話のない時代を生きてきた。令和を生きる私ではとても想像がつかない。
二人は若い頃どうやって連絡を取り合っていたの?
「家に電話はあったが滅多に使わんかった。会った時に次に会う約束をする。そんな感じじゃ」
祖父の答えに祖母がくすくすと笑う。
「それだけじゃないでしょ。私達、赤い糸電話で毎日話していたじゃない」
赤い糸電話って何?
聞くと祖母は両手を器の形にし、それを口元へ当てた。「ほら、お爺さんも」
祖母に言われ、祖父も同じように両手を器の形にするとそれを耳元へと当てた。
すると二人の間にうっすらと赤い糸が見えてきた。もしかしてそれって運命の赤い糸!?
「そうよ。これで私達、糸電話していたの。私もお爺さんも一途だから今も現役で使えるわよ」
見れば赤い糸は綻びの一つもなく、ピンと張っている。
「貴方も早く使えるといいわね」と祖母が笑うと「お前にはまだ早い!」と祖父が怒った。
恋愛
公開:22/04/30 20:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容