闇の鍋会<開始>

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気がつくと私は椅子に座らされていた。体は椅子に固定され身動きが取れない。唯一動かせるのは手だけだ。私は顔に被せられた布を取った。案の定、真っ暗だ。しかし、人の気配は感じる。「おい」とか「何だよこれ」といった声が私のすぐ近くで聞こえたり遠くで聞こえる。私のような人間が他にもいるのだろう。私は手探りで当たりのものを触った。テーブルのようなものがある。テーブルの上には……熱っ。まさか、これが闇の鍋パーティなのか。
「皆目が覚めたようだな」
機械で変えたような声が会場に響く。
「私はこの鍋会の主催者、エックスだ。お前たちには今から目の前にある鍋を食べてもらう。テーブルの上には取り皿と箸を用意した。無論、食べなければ痛い目にあうぞ。さあ、パーティを楽しめ」
皆戸惑っているのだろう。えっという声が漏れる。脅しの言葉に恐れをなした誰かが箸を取る音が聞こえると、それを皮切りに皆箸を手に取り鍋を突き始めた。
ホラー
公開:22/04/30 17:00
闇の鍋会 開始

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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