データストリーミングシャワー

6
4

朝、目覚めるとブラインドをあげる。オーシャンビューの窓からは青い海に椰子の並木。トロピカルジュースをグラス一杯飲むとシャワー室に入る。起業した会社が伸びて俺は今やIT長者。シャワーノズルに手をかざすと蜂の巣のような穴から細引きの湯が飛び出す。全身にシャワーを浴びながら俺はデータを読み取る。肌のあちこちに埋め込んだマイクロ素子を通じてシャワーの飛沫データを読み取る。データストリーミングシャワー。PCを覗く情報とは雲泥の差。シャワーの湯のゆらぎが俺に直接ビジネスデータを入力してくれる。部下のメール、株価、業界他社、政治経済の動き、商品の売上、利益、社員の行動などを皮膚から脳内へインプットしながら今日の行動計画を立てる。シャワー室は社長室だ。おや、今日は湯が熱い、俺は皮膚に痛みを感じた。SNSで俺に誹謗中傷!俺は何か言ったか。公の場でパワハラとかセクハラとか。熱い!湯はますます熱くなってきた。
その他
公開:22/05/02 15:55

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容