100%の罪

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「あなたが100%悪いんだから」母親の発言に、息子は首を傾げた。「僕が水筒を忘れたこと?」「そうよ」息子は、わざとらしくため息をつくと、小さな手で母の肩をなだめるように数回叩いた。「僕が水筒を忘れた。三歳児が水たまりで遊んだ。サラリーマンがスマホを電車を忘れた。本人が100%悪い?」「そうよ」息子は後ろで腕を組み、空を見ながら言った。「本当かな?よく考えて。水筒は、家族の誰かが声をかけてくれたらよかった。水たまりは、三歳児が意図的に避けるという選択をするとは思えない。スマホだって、周りの人が一言声をかけるだけでよかった。そんなに、面倒なことかな?だから、本人が100%悪いことなんてないのさ」母親は、ため息をついた。すると息子は、母親の耳元でささやいた。「だからさ、今日お弁当にお箸が入ってなかったからって怒りはしないよ。僕も確認すればよかった。100%悪いなんてことはないんだからね」
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公開:22/05/01 20:35
更新:22/05/01 20:37

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