カエルたちの歌

2
3

 夜、窓の外から飛び込んでくるカエルたちの大合唱。それが次第にぼんやりし、突然、耳をつんざく程のものとなった……

 暗闇の中、巨大な草に囲まれ、月明かりに照らされた水面が垣間見える。近づくと苗が整然と続いている。もそもそ動く影が、あちらこちらに。斑点が散らばる緑色の肌、水かきがある手のひら、ああ、私はカエルになったのだ。

 鳴き声を上げている者は皆、渾身の力を振り絞っていた。ひと際大きな美声を放つカエルに、他の者が集まっていく。なぜか負けちゃいられないという衝動に駆られてしまった。

 水しぶきを立てる音が響き渡る。あの人気者がヘビの口から上半身を曝け出し、必死になって悶えている。他の者は無頓着に鳴き続け、ヘビは水面に波紋だけを残していった。

「生命」という言葉を噛み締めているうちに、私は部屋に戻っていた。また寝落ちしたかな……

 窓の外では依然として、カエルの大合唱が続いている。
ファンタジー
公開:22/05/01 17:49

痩せがえる

遅筆のため、週に一作できればと思っています。どうか、よろしくお願います。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容