ささやき声

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雨の降る夜の事だった。雨音と私の歩く足音。そして傘に雨が当たる音以外、何も聞こえないはずだった。

「死ね」

突然誰かのささやき声が聞こえてきた。
今、死ねって言った?

後ろを振り返るが、誰もいない。きっと気のせいだろう。雨の音を聞き間違えたんだろう。そう思いながら再び歩き出す。

「消えろ」

また聞こえた。今度は消えろって。
後ろを振り返るが、誰もいない。気のせいではない?

私は怖くなって少し歩くスピードを上げた。

「死ね」

また誰かにささやかれた。間違いない。気のせいではない。

「誰!?誰よ!!」

私は声を上げた。だが誰もいない。
私は走った。マンションの部屋まで一気に走った。

玄関のカギを上げてドアを開けた。
その瞬間、肩を叩かれた。ビックリして振り返ると、そこには刃物を持った男が、私に向かって微笑んでいた。

「死ね」

そう言って男は刃物を振りかざした。
公開:22/04/29 10:32

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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