ピアノを弾く美少年

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今日も音楽室には、女子達が見学に来ている。お目当ては彼だ。グランドピアノを弾く美少年。彼の演奏する姿を目に焼き付けようと、女子達は食い入るように見つめている。彼は美しすぎた。そのあまりにも美しい姿に誰一人として声をかける事ができない。見惚れてしまうからだ。

しかしそんなの関係ない。俺はいつもどおり彼に話しかける。

「また女子達が沢山来てるな」

彼は何も言わず、女子達の方を見て微笑んだ。女子達はキャーと声をあげて目をハートにしている。

「ほら、お前ら。アイツの練習の邪魔だ。さあ帰った帰った」

俺は女子達を追っ払う。そしてカーテンを閉めて女子達の視界を遮った。扉を開けて確認する。女子達はいなくなった。

「……もう行ったぞ」
「ったくだりぃよ。何なんだよもう」
「お疲れ王子様」

美少年は口が悪かった。本当は性格がひん曲がっている事を知っているのは、仲の良い俺くらいだ。
公開:22/04/29 10:17

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

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ブラウン・シュガー
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