納得感

0
2

 小学生の頃、友達の超能力で助けてもらった。
 死にかけた私を、治癒系の力で回復させたらしい。意識が戻ると血だらけの私を抱いて友達が泣いてて、説明された。納得できなかった。超能力なんてあるわけない。友達とは遊ばなくなった。
 一貫校に進学した。大学、就職、知り合いは減った。連絡が途絶え、携帯は圏外に、日は沈み二度と昇らず、宇宙そのものが消えた。今の私は紫のヨガマットが敷かれた闇の中に浮いて、友達を思い出していた。
 きっとあの時私は死んだんだ。超能力とは治癒能力ではなく、人生をゆっくりフェードアウトさせるもので、友達はあの時私に、死を納得するまでの時間をくれた。
 マットが消えた。闇に呑まれる。闇は時空間が存在せず、私は、自分の身体や精神すら失った。友達がいた。時空間を超越し、友達が現れた。小学生のまま、闇の中できらきら輝き私を見守っている。笑ってる口元が呟いた。これが死。納得した?
その他
公開:22/04/28 16:23

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容