ファミリーレストラン海賊＜後編＞

「ウミガメのスープ」という名前に少々ビビったが、店員の「食べても死にませんから」という言葉に安心してその2つを注文した。
「ワインもおすすめですが」
「ああ、車で来てるので結構です」
「ぜひ飲んでください。どのみちもう元の生活はできないでしょうから」
言われるがまま注文し、料理がきた。カルパッチョもスープも、そしてワインも最高に美味しかった。そこにさっきの店員がやってきた。
「いかがですか」
「とってもおいしいです」
「よかった。それでは今日からあなた方3人は海賊の仲間入りです」
私たちは店員から海賊の服を受け取った。
「今日からあなた方はサラリーマンでも主婦でも小学生でもありません。海賊です。車も乗りません。これからは船です。用意してあります。では、海賊王目指して頑張ってください」

あれから3年。我々一家は、太平洋横断中。何もかも捨てて海賊になったのだ。
「海賊王に、俺たちはなる！！」