ラーメン、つけ麺、替え玉にイケメン

彼が浮気をしていた。その証拠を突き付けると「お前とは別れる」と言われ、部屋を追い出された。
彼に対しての怒りより、失恋の悲しみが勝る。彼の為にしていたダイエットが無駄になった。
私はずっと我慢していたラーメンに手を伸ばす。やけ食いだ。店のドアを開け、ニンニクマシマシ濃厚豚骨を注文する。一息に麺チャーシューもやしを啜り切ってやった。
「店長！替え玉！」
器を突き出す私にメニューを差し出す店長。見れば替え玉の種類が豊富だ。
次は硬めで！と言おうとしたところ、”イケメン”の文字に動きを止める。
失恋で胸にぽっかりと穴の開いた私はそれを注文した。
店長がチャーシューの紐のようなものを差し出してきたのでその一本を引くと、なんと紐に縛られた彼が出てきたではないか。
それを見て私は店長にお願いした。
「しっかり釜茹でにして下さい」
苦しむ彼を見ながら私はラーメンを食べ続ける。いつも以上に美味しく感じた。