キクの花

「悪いな。俺は自由が好きだからな。俺はアメリカに行く。日本にいてもつまらないからな。自由の国に行くんだ。だから恋愛はしない」

私は彼に告白したが、そう言って断られた。男らしくて自由奔放。だけどいつも私に優しくしてくれた彼が大好きだった。でもそれはもう叶わない。ならどうしてそんなに思わせぶりな態度を取ったの？

苦しいよ……。辛いよ……。

それから十年が経ち、私の誕生日にキクの花が送られてきた。アメリカに行った彼からだった。
キクの花は西洋の花言葉で「I love you」を表す。そこには手紙が添えてあった。

あれからもう１０年か。今だから本当の事を言う。俺は心臓の病気にかかっていた。手術の為にアメリカに行ったんだ。成功する確率は低かった。もしお前と付き合っていたら悲しい思いをさせていたかもしれないからな。本当はお前が好きだった。だからどうか幸せになってくれ。これが俺の気持ちだ。