さなぎ
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さなぎになってから暇だ。ただ寝てるだけの日々。日々、といっても目も耳もないから一日という単位もあいまいだ。身体の中はドロドロに溶けてしまったはずなのに意識だけはしっかりある。これじゃ延々不眠状態なのと変わらない。苦痛だ。
何となく寝返りを打つ。
といってもおそらく外から見れば、さなぎが僅かに身をよじらせただけに見えるだろう。意識と身体のずれが酷い。でもだんだんずれが減り、動きたいように動けるようにはなってきた。やっと羽化できる、そう思うと寝返りにも身が入る。
さて、出た。
蜂だった。
さなぎから羽化したのではなく、さなぎを食い荒らす寄生蜂の方が僕だったのだ。
親のせいだ。僕に僕を産みつけて、さんざん期待させておいて、僕はこんな風に生まれたくなかった。僕はぶんぶん飛び回り、死んだ。死ぬ前に何かやるべきことがあったのかもしれないが、そんなの、生まれる前にやりたかったことじゃない。
何となく寝返りを打つ。
といってもおそらく外から見れば、さなぎが僅かに身をよじらせただけに見えるだろう。意識と身体のずれが酷い。でもだんだんずれが減り、動きたいように動けるようにはなってきた。やっと羽化できる、そう思うと寝返りにも身が入る。
さて、出た。
蜂だった。
さなぎから羽化したのではなく、さなぎを食い荒らす寄生蜂の方が僕だったのだ。
親のせいだ。僕に僕を産みつけて、さんざん期待させておいて、僕はこんな風に生まれたくなかった。僕はぶんぶん飛び回り、死んだ。死ぬ前に何かやるべきことがあったのかもしれないが、そんなの、生まれる前にやりたかったことじゃない。
その他
公開:22/04/24 23:41
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