秒殺企業

「本日は新人諸君たちの研修最終講義並びに本採用選考である。当社の入社試験を突破して研修をクリアしてきた優秀な諸君の最後の奮起を期待する。当社の特徴は何よりもスピード。社員には反射神経が求められる。特にコミュニケーション反応は即座に行うこと。質問に対しては正解かどうかよりも瞬時の答えが優先される。どのくらいの時間で答えられるかね。〇〇君！」
「はい、３秒以内です」
「0.8秒以内に答えるように。退室してください。当社のビジョンは何か？□□君」
「・・永続的繁栄です」
「５秒。退室です。次、△△君。ビジョン達成に必要なものは？」
「努力です」
「３秒。退室。◆◆君。当社の事業戦略は？」
「愛です」
「1.5秒。退室。●●君、事業拡大に不可欠なのは？」
「シャブ漬け」
「0.8秒。OK」

五十名の研修生は、講師の質疑応答に次々に退室させられて、部屋に残った本採用合格者は五人だった。