勝手に続き(夜遊び自転車、働く）

「gonsukeさんちの自転車、夜回りしてるらしいよ」
「最近はお小遣い稼ぎまでしているらしいよ」
聞き捨てならん、お小遣い稼ぎってなんだ。


「最近は夜回りだけでなく小遣いも稼いでいるって？」
「そんなつもりはなかったのですが…」
「で？…」
「今晩11時に駅に来てください。見てもらえばわかります」
自転車はバツば悪そうに言った。

11時、駅につくとタクシー乗り場は閑散としていた。
自転車の列の間から私の自転車が「こっちこっち」と手を振った。
改札口から吐き出された人々は次々に自転車で帰っていく。
「助かりますわ。ガソリン高騰で嫁はん迎えに来なくなったんですわ。おまけにタクシーの10分の1の値段ですねん」「そろそろタイヤ交換お願いします」と、おじさんが言った。


見ると裏の杉田さんちの自転車は、家族総出で稼いでいた。