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 窓を開けると、川沿いの土手が見えた。
夕刻、わずかに陽がかげってきた頃、いつも自転車を走らせて通る少年がいた。

釣りをしていたらしい、ハンドルに釣竿を引っかけて、成果の魚は荷台のバッグの中か。

家の前まで来た時に、少年はいつも自転車を降りて、窓を見上げる。見ている私に軽く手を振っただけで、またすぐに走り去ってしまう。

その時は、少年がどこから来て、どこへ帰るのか、私は知らなかった。

 十数年の月日が過ぎた今。大人になったかの少年は、自動車に乗って帰ってくる。
いつも庭に立ち、窓を見上げる。釣りの成果を、自慢げにかかげながら。


(窓を開けると…… 06)
青春
公開:22/04/22 15:09

あさこ

あさこです。よろしくお願いします。
ショートショートは初めてのチャレンジ。 短い文でまとめるのは難しい、試行錯誤中です。
カクヨムでも小説を書いています。https://kakuyomu.jp/users/kukiha
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