天狗の基準

旅行先で道に迷い、困っていたところを現地に住む天狗に助けてもらった。
「その場所なら目と鼻の先ですよ」と教えられ、歩くこと３０分…まだ目的地に辿り着けない。
天狗に騙された…と落ち込んでいると「どうかされましたか？」と警察の烏天狗に声をかけられた。
警察に道を聞けば騙される事はないだろう。改めて訪ねてみると烏天狗も「そこなら目と鼻の先ですね」と答えた。
またこの答え…そうか。もしかしたら天狗の基準では近く感じる場所かもしれない。
人間と天狗では身体能力が全く違う。そう考えると納得できる。
神妙な顔つきをする私。烏天狗も何かに気が付いた。
「あっ！すみません！ついいつもの癖で天狗の基準で答えてしまいました」
ほらやっぱり…では天狗の基準では目的地までどれくらいかかるんだろう？
「ここならあと１時間はかかりますね」
意外と遠い！？
「天狗の『目と鼻の先』は”結構離れている”という意味なんです」