ライバル

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2

 老いも若きも男も女も関係ない。
「一番」じゃないにしても、私は多くの人に愛されているハズだった。

 ……「アイツ」が現れるまでは。
 今も外食中だというのに、「私」という存在を無視して彼はアイツと顔が触れんばかりに寄り添い、ニヤけている。

 さすがに店を出るまでに一度くらいはこちらの事を気にしてくれるだろう……と淡い期待をしていたのも虚しく、店員が彼とアイツの間に割って入り、聞いた。

「お支払いは……?」

「ああ、電子マネーで」

 彼は財布の中の「私」には目もくれず「アイツ」を店員が持って来たデバイスにかざした。

 ──ピッ。アリガトウゴザイマシタ。


 ほんと、スマホが現れてからというもの彼だけじゃなく老いも若きも男も女も私への関心が薄くなった気がする──
と、樋口一葉は思った。
その他
公開:22/04/17 18:58

椿あやか( 猫町。 )

【椿あやか】(旧PN:AYAKA) 
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◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
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◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
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